臨床研究について

当法人は専門性の高いクリニックを開設する法人として、積極的に臨床研究に取り組んでおります。

臨床研究への参加をお願いする際には、文書もしくは口頭で十分な説明を行い、患者様からの同意(インフォームド・コンセント)をいただく「オプトイン」という方法を取ることを基本と致します。

臨床研究のうち、患者様に対して研究を目的とした積極的な侵襲や介入(投薬や採血など)を伴わない観察研究(対象となる患者様の診療データのみを匿名化して用いる研究)においては、国が定めた倫理指針に基づき、「必ずしも対象となる患者様お一人ずつから、臨床研究ごとに直接同意を得る必要はない」とされております。しかし、「研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を通知または公開し、さらに可能な限り拒否の機会を保障する事が必要」とされており、このような手法を「オプトアウト」といいます。

臨床研究のために患者様ご自身のデータが使用される事を望まれない場合や、ご不明な点がございましたら、お手数ですが各研究責任者までお問い合わせください。

オプトアウトを行っている臨床研究は以下の通りです。研究への協力を希望されない場合は、研究責任者までお知らせください。なお、研究への参加を拒否された場合でも、診療へ与える影響は一切ありませんし、不利益を受けることもございませんのでご遠慮なくお申し出ください。

臨床研究一覧

小児欠神てんかんに対して有効な薬剤と患者背景に関する検討

研究責任者

生田 陽二

研究の目的と意義

小児欠神てんかんは、小児期に発症するてんかんのうち10-17%を占めるてんかん症候群で、動作を停止させて意識を消失する欠神発作を連日頻繁に生じることを特徴とします。多くは自然に終息する経過をたどりますが、発達期の小児においては学習や人間関係への影響も懸念されるため、早期の発作抑止が必要です。欠神発作の治療にはバルプロ酸ナトリウム、エトサクシミド、ラモトリギンといった抗てんかん薬が使用されますが、その有効性には個人差を認め、全ての薬剤が全ての患者さんに同等に有効というわけではありません。遺伝子の微妙な違いが抗てんかん薬の有効性に関与している可能性について示唆する報告がありますが、日常診療において遺伝子検査を実施して効果を事前に予測することは現実的とは言えず、より簡便に薬剤の有効性を推測する方法が求められます。そこで本研究では、小児欠神てんかんに使用される抗てんかん薬の有効性と患者さんの背景との関連について、カルテを後方視的に検討します。患者さんの背景によって有効な薬剤が見いだされれば、治療開始時から早期に発作を抑止することができ、患者さんの社会生活の質を向上させることができると期待しています。

同意取得の方法

オプトアウト

研究内容

対象者:
2020年4月1日から2025年3月31日に当院を受診し、臨床症状及び脳波検査所見により小児欠神てんかんと診断されたた0歳以上16歳未満の患者様のうち、6か月以上発作のない患者様

利用し、又は提供する試料・情報の項目:
・生年月日、発症年月日、初診年月日、年齢、性別、合併症
・強直間代発作の有無
・脳波検査所見
・第一選択薬、第二選択薬、最も有効であった薬剤、中止した薬剤とその中止理由
・データ収集日時点での無発作期間

提供する試料・情報の取得方法:
診療録

試料・情報の利用目的及び利用方法:
患者氏名、生年月日、カルテ番号、住所、電話番号を消去し、代替する登録番号にて匿名化し、本研究に関する目的以外には用いない。