突然「けいれん」を目の当たりにすると、多くの人が驚き、不安を感じるかもしれません。家族や友人がその場に居合わせた場合、どのように対応すべきか迷うこともあるでしょう。本記事では、「けいれん」に関する基本的な情報を整理し、初めての「けいれん」に対応する際のポイントをお伝えします。また、「けいれん」と「てんかん」の違い、年齢ごとの特徴、適切な対処法についても分かりやすく解説します。
症状
一般的な「けいれん」と医師の言う「けいれん」の違い
一般に「けいれん」という言葉を聞くと、どのような症状を思い浮かべるでしょうか?
手がけいれんする、まぶたがけいれんする、あるいは熱が上がるときの震えを「けいれん」と呼ぶこともあるかもしれません。
しかし、医師の言う「けいれん」は、意識を失い全身が激しく震える「強直間代発作」を指します。一方、手やまぶたなど体の一部がピクピク動くものは「ミオクローヌス」、熱が上がる際の震え(意識あり)は「シバリング(悪寒戦慄)」と呼ばれます。
受診時に「けいれんしました!」と伝えると、医師は強直間代発作を想定する可能性があるため、具体的な症状を詳しく説明するとよいでしょう。
「けいれん」=「てんかん」ではない
「けいれん」を起こしたからといって、必ずしも「てんかん」であるとは限りません。逆に、「てんかん」であっても必ずしも「けいれん」が起こるわけではありません。
「けいれん」の原因は多岐にわたります。脳機能の異常によるてんかん以外にも、脳卒中、脳震盪、中枢神経系の感染症(髄膜炎、脳炎など)、低血糖や電解質異常などの代謝異常、薬物中毒、アルコール離脱、不整脈や起立性低血圧などが挙げられます。そのため、初めて「けいれん」を起こした場合は、必ず医療機関を受診して原因を特定することが重要です。
年齢ごとの「けいれん」の特徴
未就学児の場合
未就学児では、熱性けいれんが最も一般的です。熱性けいれんは、約10人に1人が経験する疾患であり、通常は一度きり、または小学校入学前までに自然に消失します。しかし、複雑なケースではてんかんとの鑑別が必要です。
また、この時期の「けいれん」には、脳炎や髄膜炎などの中枢神経系感染症、先天代謝異常症、低血糖などが原因となる場合もあります。初めての「けいれん」の場合は、必ず救急車を要請してください。
学童期から思春期の場合
この時期の「けいれん」には、特発性全般てんかんがよく見られます。特発性全般てんかんでは、「欠神発作」や「ミオクロニー発作」など、けいれん以外の症状を伴うことがあります。
また、てんかん以外では、不整脈や起立性調節障害に伴う失神(脳の血流低下によるもの)、スポーツや交通事故などの頭部外傷によって起こる脳震盪などが比較的多く見られます。
青年期以降の場合
青年期以降では、焦点てんかんが原因となるケースが目立ちます。このタイプは、特定の脳の部位から始まる異常な電気的活動が脳全体に広がることで、全身のけいれんに至ることがあります。
それ以外にも、脳卒中、低血糖、肝不全、アルコール離脱、薬物中毒、心臓疾患などが原因となることがあるため、医療機関でけいれんの原因を調べることが重要です。
「けいれん」を起こしたときの対処法
初めての「けいれん」の場合
初めて「けいれん」を目撃した場合は、原因を特定するために医療機関を受診する必要があります。必ず救急車を要請してください。この時点では「てんかん」とは診断されていないため、医師の評価が必要です。
てんかんと診断されている場合
既にてんかんと診断されている場合、いつも通りの発作であれば救急要請は不要です。ただし、以下の場合は速やかに救急車を呼ぶ必要があります:
- 発作が5分以上続く
- いつもの発作と異なる
- 意識が戻らない
- 呼吸が不安定
- 外傷を伴う
また、診断済みでも、普段はけいれんを伴わない方がけいれんを起こした場合は、てんかん以外の原因が考えられるため救急要請が必要です。
通りすがりに目撃した場合
通りすがりで「けいれん」を目撃した場合、その方がてんかんの診断を受けているかどうかは分かりません。基本的には救急車を要請しましょう。ただし、ヘルプマークを持っていて「救急車は不要」と明示されている場合は、その指示に従うのが望ましいです。
予後
「けいれん」の予後は原因やタイプによって異なります。熱性けいれんのように自然に治るものもあれば、てんかんのように長期的な管理が必要な場合もあります。特に、てんかん以外の重大な疾患(脳卒中、低血糖など)を見逃さないことが重要です。また、「けいれん」が止まらない重積状態は後遺症のリスクがあるため、速やかな対応が求められます。
おわりに
「けいれん」を目撃することは、誰にとっても不安な経験です。しかし、正しい知識を持つことで冷静に対応することができます。初回の「けいれん」の際には、早急に医師の診察を受け、原因を特定することが最も重要です。